研究概要 |
CDスペクトルは、ナノファイバーによる右円偏光と左円偏光吸収の差によって得られ、スペクトルには分子不斉とマクロなキラル配向によるCDが含まれる。したがって、ナノファイバーのねじれによる真のCDを観察することは極めて難しい。そのような理由から、円偏光蛍光スペクトルによるナノファイバーのねじれの検証を行った。キラル化合物を自然光で励起した際に得られる発光は円二色性を持つことが知られており、奈良先端科学技術大学の藤木道也教授が所有する円偏光ルミネッセンス測定装置(CPL200,日本分光社製)を用いることで円偏光蛍光スペクトルを測定した。円偏光蛍光スペクトロメーターに左右回転が可能なスターラーを取り付け、撹拌時に誘起される円偏光蛍光を測定し、左右撹拌時にミラーイメージとなるスペクトルが得られるかどうかの検証を行った。 ポルフィリン超分子ナノファイバーのクロロホルム溶液を左または右撹拌しながらCPLを測定したところスペクトルの誘起を確認することはできなかった。1)ポルフィリンナノファイバーの発光強度が弱すぎる、2)分子レベルでの不斉が誘起されていない、などの可能性が考えちれる。本結果を踏まえて、分子構造の修正・修飾が必要であることがわかった。
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