特定周波数の交流電場と静磁場の併用印加が、磁場応答性雪だるま型複合粒子の配向制御に有効であることを実証した前年度の結果を拡張するため、多元的な外場印加を使わずとも異方性複合粒子の配向を制御できる手法を本年度は検討した。単一外場印加による異方性複合粒子の配向制御では、光学顕微鏡でも観察可能な大きさのチタニア球を局所的に埋め込んだ異方性複合粒子を交流電場のみの印加で配向させることを試みた。同複合粒子は、重合性シランカップリング剤共存下でのソープフリー乳化重合を利用した2段階重合で合成した。一段階目の重合で、チタニア球を架橋ポリマーで均一に被覆し、二段階目の重合で架橋ポリマーシェルから異種ポリマーを突出させた。ポリマー突出の度合を変えることでダンベル型複合粒子と、雪だるま型複合粒子を作り分けた。このように合成した複合粒子に対して、1kHz~数MHz程度の幅広い周波数帯域の交流電場を作用させたところ、チタニア球を局所的に内包したダンベル型複合粒子は高い周波数帯域で電場と平行にPerl-Chain構造を形成する一方で、低周波数では電場と垂直な状態で複合粒子が集積することがわかった。このような傾向は、誘電分散が小さいシリカ粒子を内包したダンベル型複合粒子では観察できなかった。さらには、チタニア球を内包した雪だるま型でも確認できなかったことから、交流電場による異方性複合粒子の配向制御では、ビルディングブロックとなる複合粒子の構成材料を適切に選定するとともに、複合粒子の形状を精密に制御することが重要であることを示した。
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