本研究は、ペプチドー無機材料動的制御界面の創製を目指し、(I)進化分子工学の手法を用いたコンビナトリアルエンジニアリングによる動的制御可能な第二世代のペプチドアプタマーの探索と、(II)第一世代のペプチドアプタマー・無機材料界面構造解析をおこない、構造情報を元に人工ペプチド・人工タンパク質のデザイン合成を進め、生体高分子・無機材料異種界面の動的制御を実現するものである。 昨年度作製した、亜鉛イオンに応答して構造変換を惹起するZn-finger骨格を持つライブラリーを用いて、チタンを標的とする第二世代のペプチドアプタマーのスクリーニングをおこなった。バイオパニングを繰り返したが、顕著なファージの結合能上昇が見られなかった。最初のライブラリーサイズが小さかったことに起因すると考え、Zif268骨格を持つライブラリーに焦点を絞って、スケールアップしたライブラリーの作製をおこなった。現在、この新しいライブラリーの評価をおこなっている。また、動的界面分子の検出に向けたタイムラプスイメージングシステムの改良を進め、微分干渉の導入と感度・応答速度の向上により、標準試料とした超高分子階層性ハイドロゲルの構造解析に成功した。さらに、第一世代のチタン結合ペプチドアプタマーであるTBP-1とチタンの界面構造の精密化をおこない、その結果を元に、ATP加水分解に伴ってダイナミックな構造変化が知られているループ構造に、TBP-1配列を導入したキメラタンパク質の構築と発現・精製に成功した。
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