平成20、21年の研究を通じて、目視検査に熟練した作業者は、周辺視野を有効に用いて検査を行っていることが分かった。しかし、周辺視は中心視と異なり、色覚が弱く、欠点の特徴によっては、その発見が困難である可能性がある。 そこで、本年は、周辺視野を用いた目視検査において欠点の特徴が欠点の検出に及ぼす影響について検討するとともに、欠点の特徴を定量化し、発見が容易な欠点と困難な欠点に層別する指標を提案することについて検討した。具体的には、欠点の特徴として、欠点の視角、明度差、輝度差を変動要因とした実験を行い、それらの相違が欠点検出率に及ぼす影響について検討した。 その結果、欠点はその面積が小さいほど検出率は低下し、欠点と背景との明度差や輝度差は、差が小さいほど欠点検出率は低下することが示された。その一方で、欠点と背景の輝度差が等しければ、明度や色相の相違は、欠点検出率に影響を及ぼさないことが示された。 そこで、これらの欠点の特徴を定量化するため、欠点の面積と輝度差に着目し、新たに面光度(面光度=背景と欠点の輝度差×欠点の面積[cd])と呼ぶ概念を提案する。この面光度により、欠点の視角、明度差、輝度差が異なる欠点においても面光度が等しければ欠点検出率に差が生じないことが明らかになった。 以上のように、本年度は、面光度の概念を新たに提案し、欠点の特徴が欠点検出に及ぼす影響の定量化を実現した。
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