本研究では日本人集団多様性情報の医学への応用を目指した情報基盤整備を行うために、日本人の単一精子由来完全胞状奇胎ゲノム検体の解析により日本人ゲノムの高精度SNP(一塩基多型)/CNV(染色体領域コピー数多型)ハプロタイプ地図を作成し、それをデータベース化することを目的としている。 第一年度に引き続き、Affymetrix社SNP6.0アレイ実験結果を基に、検出したSNP/CNVの詳細な解析を行った。これまでに、特定のSNPハプロタイプ上では長さの異なるコピー数多型が頻繁に生じやすいという今まで知られていなかった現象を示唆するデータを得た。このことから、体細胞変異により引き起こされる癌の進行過程で見られるゲノム構造変化にも特定のハプロタイプ構造が関与していることが考えられる。 またハプロタイプ地図のマーカー密度をさらに高めるために、100万SNPマーカーを搭載したIllumina社のSNPアレイ、Human1M-Duoを用いて完全胞状奇胎100検体分のタイピングデータを得た後、Affymetrix社SNPアレイ6.0での解析結果との統合を目指した作業を行った。28万個のSNPはSNP6.0アレイに搭載されたものと重複するので、それらを使って両アレイでのジェノタイピング一致率を調べると、99.9%以上という極めて高精度な結果であった。よって両解析を合わせることでヒトゲノム2kbごとに1SNPの高密度SNPハプロタイプ地図を得たことになる。現在、コピー数解析に関して両解析プラットフォームの結果を統合する作業を進めている。
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