研究概要 |
本研究は神経再生医療のサポート医薬に結びつく有用化合物の発見を目的とする.本研究は次の3つの柱を含む天然物基盤ケミカルバイオロジー研究である.「天然物を基盤とした化合物群」,2つ目は「タンパク質を用いるアッセイ法の開発」,3つ目は「細胞を用いるアッセイ法の開発」. 1新タンパク質アッセイ系の開発:昨年度に開発したビーズ担時タンパク質を用いる迅速な天然物の単離法を応用し,神経幹細胞で働くbHLH転写因子Hes1ビーズを用いる方法を開発した.本方法を用いて天然物を2種,迅速に単離,構造決定に成功した.そのうち1種はHes1二量体形成阻害能を有していた. 2化合物ライブラリーの構築:天然物骨格を基盤とする化合物の固相合成によるライブラリー構築をめざし,昨年度全合成を行った,Fuligocandin A,Bの固相合成法の検討を行った.我々が開発したMichael-aldolのタンデム型one-pot反応による,効率的なヘテロ環置換基を有するクロモン、フラボノイド誘導体合成反応を用いて固相でのライブラリー651種の中に,bHLH転写因子Hes1のプロモーター活性阻害剤を見いだした. 3細胞を用いたアッセイの構築:細胞を用いた神経幹細胞のニューロンへの分化を促進するbHLH転写因子Ngnのプロモーター活性を,Luciferaseを用いるレポータージーンアッセイとして構築した.これを用いて,当研究室保有の天然物エキスライブラリーをスクリーニングし,その中の一種から,神経幹細胞をニューロンへ選択的分化誘導を起こす天然物を見いだした.
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