西アフリカのサヘル(サハラ砂漠の南縁)地域では、土地の植物生産力が低下する砂漠化問題が深刻である。一方、サヘル地域の各都市においては人口が集積し、都市内部に廃棄されたゴミや屎尿が蓄積している。農村の砂漠化と都市の富栄養化が同時に進行しているという着想のもと、本研究ではサヘル地域における砂漠化防止対策として都市の生ゴミを利用する発想・技術と、都市と農村の間の物質循環サイクルを構築し、西アフリカにおける農村の砂漠化防止と食料自給の達成、都市のゴミ・衛生問題を解決することを目的としている。本年度は計画2年度目である。昨年度に設営した圃場実験は順調に進んでいる。ゴミの投入量は1m^2あたり(1)5kg、(2)10kg、(3)20kg、そして(4)45kg、(5)無投入区(対照区)である。それぞれのプロットにおける土壌水分の自動観測を継続するとともに、生育してくる草本バイオマスの計測を進め、ゴミ投入の効果を検証している。また、土壌養分や植物体に含まれる栄養分の分析作業も順次、進めている。また、首都ニアメに散在するゴミを100か所で収集し、ゴミに含まれる栄養分、各種金属元素の含有量の分析をおこない、規定のゴミ捨て場、計画公園に山積みにされたゴミ場、側溝、燃えがら、最終処分場に分けて、データを整理している。
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