研究概要 |
本研究は1.看護・介護・家事労働の国際移動,2.結婚移民,3.送り出し国の政策比較の3つの柱から構成されている。1.については学会における招へい講演を4か所で行うことができた。特に着目したのは昨年に続き日本の経済連携に伴う看護師・介護福祉士候補者の受け入れと動向についてである。2.については特にタイを取り上げ、結婚移民が社会的上昇の手段であると同時に経済的基盤の確立という生存戦略の一環であることをバンコクなどにおける調査で明らかにした。3.については昨年のインドネシア・フィリピンに続き、ベトナムとカンボジアにおいて聞き取り調査を行った。前者については送り出しのフォーマル化を国家戦略としているが、後者についてはプルファクターによりタイに引き寄せられる農業労働者について取り上げることができた。また、21年度は社会統合政策を大きな柱として欧州諸国で調査を行った。ノルウェー、ベルギー、イタリア、オランダ、キプロスを中心に調査を行ったが、OECDや欧州評議会、UNESCOでも聞き取りを行った。うち、OECDと欧州評議会については、他資金からであったが日本に招へいし、社会統合政策に関する国際シンポジウムを開催した。一部の話者については京都大学にも招へいした。欧州における社会統合政策は、今後統合が深化すると考えられるASEANにも影響を及ぼすと考えられ、注目している。次年度も継続調査を行う予定である。
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