研究概要 |
本研究は京都学派の根本的概念を更に吟味した上で、日本哲学と他の哲学的分野との結び付きを強めた。一方で、中国哲学との関係を一層深く捉えるようになった。他方では、西田幾多郎と三木清のベルクソン論を探究し、坂部恵の思想を「場面の哲学(a scenic philosophy)」として理解することによって、フランスと日本の間に幾つかの哲学的類似性が現れた。そして明治以降の思想家(西周、西田幾多郎、大森荘蔵など)における科学哲学という概念が明らかになった。 そのため、本研究の方法的方針は、分析哲学や認識学、フランス哲学と中国哲学といった方面から総合的立場として前代未聞の日本哲学を理解しようと試みている。 以上のリサーチ結果内容が二つの著作として出版予定になっている。第一に、西田幾多郎「経験科学・図式的説明」の仏語訳(共訳、Dalissier,M.&伊原木大祐、研究計画・方法欄の(6)を参照)。このプロジェクトに関する活版印刷術のチェックや索引作成のため校正謝金を使用した。 第二に、初めてヨーロッパで日本哲学を体系的に紹介する作品がパリのヴラン社(editions J.Vrin)で2010年末に出版予定である。Phillosophie japonaise:texts cles(「日本哲学の鍵-テクスト」、Dalissier,M.・永井晋・杉村靖彦編(研究計画・方法欄の(14)を参照)。 本研究を施行するため、蔵書(全集、参考文献など)を購入し、社会へ発言する場としては、大阪大学にて2009年秋学期から"An Introduction to Japanese Philosophy,part 2"という授業や発表を国内で行い、また多言語での論文を作成した(研究計画・方法欄の(5)、(10)、(11)などを参照)。
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