本研究では、破綻国家の再建に国際平和活動がどのような役割を果たしてきたのか、破綻国家再建の過程で国際平和活動はどのような課題に直面しているのか、といった点を検証する。4年間の研究の初年度にあたる今年は、破綻国家の理論に関する先行研究の整理および国際平和活動の先行研究の整理を中心に取り組んだ。 さらに、破綻国家再建や国際平和活動に関する研究者や実務家との意見交換や聞き取り調査を、文献調査とあわせて実施した。また、関連する研究会、学会、シンポジウムにも参加し、情報収集や研究動向の把握に務めた。 また、今年度は、破綻国家の再建の観点と国際平和活動の観点からきわめて重要なアフガニスタン復興と、双方の観点からアジアにおける興味深い事例(成功例)としてインドネシア・アチェ自治州の復興に関する研究を進めた。アフガニスタンの専門家を広島大学に招聘して、本研究に対する指導や助言を受ける機会も作ることができた。 近年、急速に研究成果が出されている破綻国家の再建および国際平和活動のテーマに関して、最新の文献を揃え研究動向を把握するとともに、その成果をまとめて論文として寄稿することができたことは、本研究を進めていくうえで重要な基盤を形成することになった。さらに、破綻国家の再建と国際平和活動の役割が、ますます重要性を増していく中で、アフガニスタンとアチェという国連平和維持活動以外の枠組みで平和活動が展開する事例を具体的に分析してきたことは、国際平和活動の新しい展開を示唆することになったといえる。
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