本研究では、ネットワークサービスに焦点を置き、ネットワーク外部性を考慮したスイッチングコストを計測することを目的としている。ネットワーク型の通信サービスは、加入して消費するという形が一般的であり、加入という自己選択バイアスを取り除いた計量経済モデルを構築して実証分析を行う必要がある。21年度は、研究計画上もアンケート調査データの取得を行うことになっており、郵送、WEB二つのアンケート設計・実際を行った。従来型の通信手段の中には、郵便などの物流を基本とした手段、人的移動を伴う直接コミュニケーション(交通重要)も、広い意味では含まれると考えられる。本研究では、固定電話、携帯電話等の現在主流の通信手段のスイッチング行動を分析(政策提言)することを主眼としているが、郵便や移動手段のネットワーク外部性の多寡を捉える設問項目も比較対象として考慮した。これらの点を考慮したネットワーク外部性への評価項目を入れた結果、初期の分析段階で固定電話と郵便に対する評価が類似している点も示唆されている。21年度調査のメインパートは、固定電話サービス、携帯電話サービス、固定ブロードバンドサービス、多チャンネル放送サービスの水平的連携について検討する項目と、次世代型の固定ブロードバンドサービスと次世代型の携帯ブロードバンドサービスの代替性について、固定ブロードバンドから携帯ブロードバンドへのスイッチング行動を捉える項目であった。分析の結果、固定通信会社選択と移動通信会社選択の間の水平的連関の可能性等が明らかとなった。両市場間にレバレッジが働く可能性を示唆しており、通信市場全体を見通した政策の必要性を示した結果であるといえる。
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