研究課題
本研究では、製品開発を規定する製品構想は、技術的な要因だけでなく、顧客の定性的・情緒的な価値を満たすための非技術的な要因が存在するのではないかという命題の元に、研究開発組織とそのプロセスの分析を行っている。製品構想が正しく顧客に伝わるためには、構想段階のコンセプトが、首尾一貫して研究開発プロセスにおいて貫かれ、最終的に製品に正しく反映されることが求められる。そこで、本年度は、技術と事業のターゲットが正しく統合されるための要件とそのメカニズムに着目をして研究を行った。本年度の成果としては、技術と事業の効果的なすりあわせは、新たな技術のポテンシャルを把握する上流の研究開発部門が、自ら新しい事業の明確な構想を提示することによって可能となることを示した。また、研究開発部門による効果的な事業提案には、事業構想の多様性が将来の不確実性を低減させ、開発された技術成果と事業成果とのすり合わせることを容易にしていることを示した。また、事業構想の多様性を確保するためのリアル・オプション的な製品開発のプロセスを事例研究に基づいて示した。これらの研究業績は(本年度中の出版物刊行と論文採択に限定してカウントしたものとして)、組織学会機関誌『組織科学』への投稿論文の採択(現在編集・印刷中)を含め、4本の学術論文、国内外の3回の学会報告と、他研究者との共著の書籍への論文採録2本などを行うことによって、その成果の公開を行った。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (2件) 備考 (1件)
組織科学 Vol.43, No.2(近刊)(印刷中)
赤門マネジメントレビュー Vol.7, No.12
ページ: 859-880
国民経済雑誌 Vol.197, No.5
ページ: 87-107
映像情報メディア学会誌 Vol.62, No.8
ページ: 1259-1261
http://www.rieb.kobe-u.ac.ip/academic/ResearchStaff/osanai-j.html