今年度は、市町村合併により、北秋田市になった旧4町住民(旧合川・旧阿仁・旧鷹巣・旧森吉)の福祉意識をはじめ、彼らが、「福祉でまちおこし」、地域福祉の推進、まちづくりというキーワードをどう捉えているのかを把握すべく、2009年10月にアンケート調査を実施した。調査票は市役所の協力を得て10月号の市広報に挟み、全世帯に配布した。回収率は23%(回収部数3342部)であり、旧4町別の回収率を高い順でみると、旧森吉(回収率27%;回収部数689部)、旧阿仁(同24%;384部)、旧合川(同23%;676部)、旧鷹巣(同20%;1526部)であった。調査票は、昨年度に実施したプリテスト(調査表C)を改良したものである。プリテストは、旧鷹巣町住民の福祉意識や生活上の不安要素をつかむ目的で設計したものである。 主な調査結果は以下の通りである。日常生活上の心配事で最も多いのは、「経済基盤の確保」であり、いずれの旧町でも4割から5割の住民が選んだ。家計の変化について「悪化」と回答した割合が最も多く、いずれも6割を超えた。一方、「改善」と回答した割合は最も低く、いずれも1%から6%にとどまった。市政合併について「評価する」と回答した割合はいずれも5%以下にとどまり、「評価しない」が6割を超え、9割近くに上った旧町もあった。「福祉は産業もしくは産業になり得る」について、いずれも否定的な回答が最も多く、4割から6割に上った。また、肯定的な回答は、旧鷹巣の1割を除くと、他の旧3町では3割台となった。市の活性化を握る鍵として、いずれも4割以上が「農林水産業の振興」(1481名;46%)を選んだ。 今回の調査結果から、旧4町で唯一「福祉で町興し政策」を打ち出し、15年近く「福祉でまちづくり」を掲げて住民参加の手法で取り組んだ旧鷹巣が、「福祉は産業」についての評価が最も低いという結果を得た。次年度は、他の調査項目と突き合わせながら、その原因の究明を研究内容に加え、引き続き考察を深める。
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