研究概要 |
群作用付孤立超曲面特異点のミラー対称煙は,7,555個の位相的ミラー対をなすカラビ-ヤウ多様体の発見をもたらした.最近,堀氏・Orlov氏・研究代表者らにより,80年代中旬の特異点理論における行列因子化のアイデアで,その理解が急速に進んでいる,離散群・特異点・ルート系・リー環・有限次元代数の間にある不思議な関係を解明するため,ホモロジー的ミラー対称性の観点から,群作用付き行列因子化の圏およびその安定性条件の空間の構造解明を目指し,研究を行った.これまでの研究において、群作用付き超曲面特異点に対するホモロジー的ミラー対称性予想の定式化および予想成立の状況証拠を与えていた. 本年度は昨年度の研究をさらに拡張し,群作用付きの「カスプ特異点」と滑らかな射影曲線を粗なモジュライ空間としてもつオービフォールドのホモロジー的ミラー対称性予想の組み合わせ論的側面に関する命題を証明することができた.具体的には,群作用付孤立超曲面特異点に対して,「ドルガチェフ数」と「ガブリエロフ数」を定義することができ,それらが超曲面特異点の「転置」操作により入れ替わる,ということを証明した.これにより,「アーノルドの奇妙な双対性」をほぼ完全な形で拡張することができ,それはミラー対称性により自然に説明することができるようになった. また,単純楕円型特異点と重み付き射影直線のミラー対に対して,平坦構造をそれぞれ原始形式とグロモフ-ウィッテン不変量の理論から構成し,その同型写像を構成した.この帰結として,あるエータ積のフーリエ級数の幾何学的意味づけを行うことができた.
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