太陽表面では、黒点に代表される太陽直径程度(700万km)の距離スケールの巨大な磁場とともに、太陽表面の対流現象のスケール(1000km)での微細な磁場構造もあり、それぞれの生成消滅が観測されている。これらは太陽内部のプラズマと磁場の相互作用により、大きさや磁場強度、時間尺度の異なる様々な特徴的磁場構造の発達、消滅過程を表してると考えられるが、その詳細は分かっていない。本計画は、京都大学飛騨天文台設置の太陽磁場活動望遠鏡の偏光解析装置を改良し、これらの磁気活動の起源を探るものである。最終年度となる当該年度には、実験室での観測システムを実施し、望遠鏡に設置する前に、30フレーム毎秒で偏光変調された、2系統の1600x1200ピクセルの画像データを、連続的に取得するシステムの調整を行った。飛騨天文台ドームレス望遠鏡に装置を取り付けて試験を実施し、新機構が動作することを確認した。その後、実機への取付けを行い、既存の光学系との軸合わせなどを実施し、結像性能を確認した。さらに、望遠鏡を含む装置全体での偏光特性評価の準備を行った。これにより、実機でのデータの取得が可能となり、データの取得を開始した。太陽活動の上昇により、黒点が多数出現するようになってきており、取得された黒点などのデータの評価をすすめ、まざまなスケールの磁気活動の起源についての考察を行っている。
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