研究課題
計画通り、岩石の破砕と形状の調査と振動実験、数値実験、そしてこれらに基づいたイオカワやエロスの探査データの再検討を開始している。岩石の形状調査には、当初はレーザーを用いた3Dスキャナで形状を把握する予定であったが、実際に隕石標本を用いて実験したところ、この手法によると必要な解像度が得られない事が判明した。そのためこの部分に関しては、現在別の手法を検討中である。一方で、探査データの検討は予想以上に進展があった。特にブライトスポットと名付けた著しく輝度の高い点が、マイクロクレーターであることを明らかにし、このためブライトスポットの数密度を利用すれば、イトカワ表面に存在している岩塊の宇宙空間への暴露年代の尺度を得られることがわかった。従来、小惑星の年代に関する情報は非常に限られているため、この発見はとても重要であるだけでなく、私たちが提唱している岩塊の流動モデルを数値モデルによって検証する上で具体的な制約条件となるために、重要な発展であった考えている。さらに、岩塊の大きさの頻度分布から、イトカワの内部構造に対して制約が得られることも明らかにしており、今後は上で得られた結果とあわせて数値的に検討を進める予定である。
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Icarus 206
ページ: 319-326
日本惑星科学会学会誌(遊星人) 19
ページ: 23-27
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