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本研究では、カナダ上部白亜系の未記載標本ROM 29010(カナダ国・ロイヤルオンタリオ州博物館所蔵)を用いた脳函の比較解剖学による首長竜(双弓類、鰭竜類)の系統仮説の検証、野外調査、及び博物館所蔵標本の記載的研究による化石産出地域(カナダ中西部のマニトバ・エスカープメント)の学術的将来性の評価を目指している。平成22年度は3年計画の2年目であり、カナダ出張(オンタリオ州オタワ、サスカチュワン州、マニトバ州)を含む以下の研究活動を行った。
1. Canadian Museum of Nature(カナダ・オンタリオ州)にて借用しているROM 29010の記載を行った。頭蓋骨の詳細な形状を示すScientific illustrationを作成し、三次元スキャナーを用いて不完全な脳函を復元することに成功した。得られたデータを用いて詳細な記載論文を執筆・投稿した。
2. 系統解析における形質の極性評価のため、原始的な鰭竜類や鰭竜類に近縁な可能性のある三畳紀の双弓類との比較解剖学的研究を、国立自然科学博物館(中華民国・台中市)、中華人民共和国淅江省自然史博物館が所蔵している標本を中心に行い、学会口頭発表と論文の投稿を行った。
3. マニトバ・エスカープメントの複数の地点で野外調査を行い、ROM 29010など既知の標本の産出層準を特定し、追加標本の採集を行った。また、地元の博物館・関係者を訪問するなどして、新しい標本や露頭に関する情報の収集、及び平成22年度の調査における協力予定者との打ち合わせを行った。
4. 関連するトピックについて、IGCPによる国際シンポジウムでの講演や、日本古生物学会編「古生物学事典」の項目の執筆を行った
5. 日本の上部白亜系首長竜標本(フタバスズキリュウ)と共産するサメ化石に基づいて、化石爬虫類の生態系における位置づけについて、共同研究を行った。
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