研究概要 |
平成20年度途中で合成に成功したビシクロ[1.1.1]ペンタシラニドのカリウム(18-クラウン-6)塩のX線構造解析を行い、結晶中で溶媒分離イオン対として存在していることを明らかにした。また橋頭位間距離が中性化合物であるビシクロ[1.1.1]ペンタシランのものよりも20pm程が伸長していることを見出した。これはビシクロペンタシラニドの橋頭位間の電荷の反発が中性のものよりも大きくなっているためと推定された。このビシクロペンタシラニドの酸化反応を行ったところ、予期せぬ化合物である、4環式オリゴシラン、テトラシクロ[5.1.1.1^<3,5>.0^<3,7>]デカシランが生成することを見出し、その分子構造をNMRおよびX線構造解析で明らかにした。この4環式オリゴシランは対応する炭素骨格をもつものは未知である。また、ビシクロ[1.1.1]ペンタシランの両方の橋頭位のケイ素上がアニオン化されたビシクロ[1.1.1]ペンタシランジイドのカリウム(18-クラウン-6)塩を合成し、空気に不安定な結晶として単離に成功し、その分子構造をX線結晶構造解析で明らかにした。結晶中でビシクロペンタシランジイドは溶媒分離イオン対構造を持ち、橋頭位間距離が中性化合物であるビシクロ[1.1.1]ペンタシランよりも40pm伸長し、これは橋頭位間の電荷の反発によるものと推定された。 また、1,3-ジシラビシクロブタンの架橋ケイ素-ケイ素結合に対するフェニルリチウムのカルボメタレーション反応を利用して、橋頭位にフェニル基を持つ1,3-ジシラビシクロブタンの前駆体の合成に成功した。
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