研究課題
ユーロピウムのステアリン酸錯体のLB膜を媒体として、膜累積時に光アンテナ分子を取り込む独自の方法により、本来等方的であるff発光に偏光性を持たせる。これまでは、平面性の高い光アンテナ分子を用いてきたが、20年度は、ランタニドの周辺に巻きつくような多座配位子(ジャイロ型錯体)の合成とその膜取り込みおよびその基盤となる光化学現象を考察した。このテーマについては現在各種学会での口頭発表により国内外の専門家と議論を重ねており近日中に論文として発表できる段階である。これを基盤とし、LB膜内に取り込みジャイロ型が与えるランタニドからのff発光の偏光性に関する知見を得る。膜化したランタニド発光の挙動は、高分子表面に付着させた場合によっても重要な知見を与える。昨年度は、特にポリビニルアルコール(PVA)膜を用いた実験を精力的に行い、これについて2報の論文をまとめた。特に、放射光EXAFSを用いた実験では、 PVA膜表面の錯体のEXAFSの測定法の確立により、LB膜での構造解析・解釈が難しい部分を捕捉できる方針を見出すことができた。最終的な構造決定には至っていないが、十分なデータである。LB膜に関する報告は、オーストリア化学会Monatsh Chem (Springer)にレビューとしてまとめたところ、カバーページとしてまとめの図が採択された(印刷中)。
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Monatsh. Chem. (in print)
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