ユーロピウムのステアリン酸錯体のLB膜を媒体として、膜累積時に光アンテナ分子を取り込む独自の方法により、本来等方的であるff発光に偏光性を持たせる。21年度は、この偏光発光の輝度あるいは量子収率を向上させるため、アンテナ分子を組み込んだ界面活性型配位子の開発に取り組み、その合成に成功した。現段階では、この錯体の粉末におけるユーロピウム錯体の発光評価を行っている段階であるが、この状態での発光強度が非常に強いため、特許申請に至っている。また、同様の光アンテナとなる芳香族性部位を導入した界面活性型の配位子および一連のランタニド錯体の合成にも成功している。これについては希土類討論会での発表に至っている。さらに、LB膜を累積する基板の種類にも分子配向性に影響があるものと考えられるので、石英基板だけでなくサファイアなど結晶性の高い基板上での錯体分子の累積についても検討を行ってきた。特に構造解析については、特殊なアタッチメントを用いた短時間でのX線回折測定のため、SPring-8での実験を行っている。これらのアンテナ部位を組み込んだ界面活性分子によるLB膜の構造解析に関わる課題は、文部科学省の重点ナノテク課題として採択された。
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