研究課題
本研究は新しい超解像光学顕微鏡を開発することで、単一分子スケールで高分子材料の構造解析を行なうことを目的としている。光を用いながらナノメートルオーダーの分解能を示す超解像顕微鏡として幾つかの手法が提案されているが、本年度においては予備実験を行うことによって、その中でも単一高分子鎖の形態評価を行なう上で最も有効と考えられる方法論を選択することを目指した。その結果、FIONA(Fluorescence Imaging in One-Nanometer Accuracy)を利用した顕微鏡法が最適であるものと考えられた。次いでFIONA観察を行うために新しい全反射照明顕微鏡を構築し、背景光を極限まで抑えた上での高感度蛍光イメージングを実現した。さらにデータ解析のためのソフトウェア開発を行った。顕微鏡システムの性能の検証を行なったところ、観察された単一蛍光分子について<4nmの分解能を達成することが出来た。イメージングシステムの開発と並行して、同システムによって評価するための試料合成を開始した。本年度では鎖の末端間距離の直接評価を行なうために、鎖の両末端に一個ずつの蛍光色素分子が導入されたポリメチルメタクリレート(PMMA)の合成を行った。原子移動ラジカル重合の開始剤となる官能基を有するペリレンジイミド誘導体を合成し、ここからメタクリル酸メチルを重合することで片末端のみ蛍光ラベルされたPMMAを得た。続いて重合末端に対してもう一つのペリレンジイミド分子を導入することで両端をラベルされたPMMAを合成することができた。
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