研究課題
ナノメートルサイズの巨大磁気抵抗効果素子を舞台に、局在スピンの歳差運動を定常的に永続させることによる高周波発振を誘起する研究が進められている。2005年に、アメリカのグループから同時に二つの局在スピンをモードロックさせることにより、発振強度を高める検証実験が報告された。しかしながら、モードロックのメカニズムが、強磁性体内に誘起されるスピン波に因るものなのか、交換相互作用に因るものなのかが明らかになっていないのに加え、スピンを素子面直方向に立てるため、外部磁界の印加が不可欠となっており、デバイス応用の観点からは、実用化の目処が全く立っていないのが現状である。そこで、本研究では外部磁場を必要とせず、非常に高いQ値を有したまま周波数変調が可能な究極的スピン発振素子を実現することを目指す。本年度は、まず強磁性絶縁体であるガーネットに電圧を印加することにより、スピン波を励起し高周波発振が可能なことを実験的に示すことに成功した。続いて、50GHz帯域までの高周波測定環境を整えた。具体的には、高周波信号発生器を購入し、高周波アシスト効果を調べることを可能とした。その上で、フルエピタキシャルの整列ナノドット集合体やトンネル磁気抵抗素子を作製し、その高周波応答測定を行った。来年度は、モードロック状態を実現し、そのメカニズムを明らかにする予定である。
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Nature 464
ページ: 262-266