研究課題
ナノメートルサイズの巨大磁気抵抗効果素子を舞台に、局在スピンの歳差運動を定常的に永続させることにより高周波発振を誘起する研究が進められている。しかしながら、スピンを素子面直方向に立てるために外部磁界の印加が不可欠となっており、デバイス応用の観点からは、実用化の目処が立っていないのが現状である。そこで、本研究では外部磁場を必要とせず、非常に高いQ値を有したまま周波数変調が可能な究極的スピン発振素子を実現することを目指す。昨年度までに、フルエピタキシギルの整列ナノドット集合体を作製してその高周波応答測定を行い、ナノ構造におけるスピンの動的挙動を明らかにした。本年度は、ホイスラー合金を電極に用いた巨大磁気抵抗素子を作製し、スピン自励発振特性を観測することに成功した。ホイスラー合金は一般にスピン偏極率が大きく、観測された発振出力もそれに応じて高くなった。しかしながら、複数の磁気抵抗素子を並べた構造において発振スペクトルの取得を行ったが寸モードロック状態を示す振る舞いを確認するには至らなかった。これは、素子構造の均一性が、一定の水準に達していなかったためと推測される。さらに、数種類の磁気異方性定数を有するFePt薄膜の強磁性共鳴スペクトルを取得することにも成功した。磁気異方性の大きさに依存して、発振周波数は大きく変化することが確認された。これらの結果に、周演数変調発振素子作製のための知見となるものであり、その実現に向けた指針が得られた。
すべて 2012 2011 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
Key Engineering Materials
巻: 508 ページ: 261-265
表面科学
巻: 32 ページ: 145-151
Journal of Physics D : Applied Physics
巻: 44 ページ: 064007-1-064007-7
Applied Physics Letters
巻: 99 ページ: 052510-1-052510-3