研究課題
1、GaMnAsを量子井戸とする二重障壁ヘテロ構造の研究強磁性GaMnAs量子井戸を用いた共鳴トンネルダイオードを作製し、研究目標通り、平行磁化状態と反平行磁化状態における共鳴ピークの電圧値の差が22mVもの大きな値を示す素子の作製に成功した。その結果、トンネル磁気抵抗効果の共鳴トンネル効果による増大も40%に達し、この系では過去最高値が得られた。また、これらの素子の3端子素子化を行い、量子井戸電極の電圧を変化させることにより、量子準位を制御できること、また、GaMnAs量子井戸の磁気異方性がそれにより変化することを初めて突き止めた。この変化は、従来磁化の制御に必要だとされてきた電流値の約1000分の1程度の電流値で起こっていることが分かった。将来は、この結果を利用すれば、非常に少ない電流値で磁化反転を起こすことが出来る可能性もあり、新しいスピンエレクトロニクスデバイスが実現できる可能性もある。2、強磁性MnAs微粒子を半導体中に埋め込んだヘテロ構造におけるスピン依存伝導特性の研究強磁性MnAs微粒子を埋め込んだGaAsヘテロ構造は、Spin-MOBILEを実現する上で非常に有望な系である。今回、閃亜鉛鉱型MnAs微粒子を含むヘテロ構造において、静磁場による起電力を始めて観測した。静磁場の印加により、MnAs微粒子の磁化がゆっくり反転することにより起電力が生じていることを明らかにした。静磁場を用いたクリーンエネルギーの生成や、高感度磁気センサーへの応用が期待される。
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