本研究は、プラズマVLSバルク結晶成長法を開発し溶液成長の成長速度を向上させ、高品質SiC結晶の高速成長を実現することを目的とした。本年度は以下について実施した。 (1) 大気圧プラズマ生成装置を用いたプラズマガス供給VLS装置の開発:大気圧プラズマ装置は、すでに市販されるレベルにあるが、本研究ではこれを高温環境下で保持する必要がある。そのため、通常は、銅などが材料として用いられるが、本研究ではそれが困難である。そのため、グラファイトとマシナブルセラミックスを組み合わせたトーチを専用設計した。さらに、その制御に適した大気圧プラズマ発生用電源を導入した。 (2) 通常ガス供給による条件最適化:本研究ではカーボン原料をガス供給するが、プラズマ発生に先駆けて、通常ガスによる原料供給の最適条件の探索を行った。その結果、ガスの導入方法によって溶媒へのカーボン供給効率が大きく変化することを明らかにした。また、研究開始当初の実験においては、カーボン坩堝を用いて実験を行っていたために、その効果が明確ではなかったが、カーボン以外の坩堝を用いることによって、より効果を明確にすることができた。また、炭化水素ガス種の最適化も検討した。 (3) プラズマガス供給による過飽和度増加の確認と供給量制御:当初、プラズマによる炭素の高効率供給効果を確認する予定であったが、ガス供給が途中で行われなくなるという問題に直面し、その解決に集中した。その結果、本問題を解決し次年度へとつなげることとした。
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