研究概要 |
高強度レーザー生成プラズマベースのコンパクトでサイクル数を制御する高エネルギーテラヘルツ光源を実現し,テラヘルツ光ポンプ-X線光源プローブ法たるオリジナルでユニークな診断技術を開発することを目的にしている.この先進診断技術を用いて,非線形フォノンを伴う極限局所相転移などの非線形固体物性ダイナミクスの観測を世界に先駆けて実現し,新しい物性科学を創成することに挑戦している. 数サイクルの高エネルギーテラヘルツ光源の開発と特性実験を行った.(a)あらかじめ媒質中に励起した周期静電場を,(b)超短パルスレーザーの光電界誘起イオン化フロントにより,正弦的(周期)静電場を相対論的ドップラー効果により圧縮し,(c)テラヘルツ光に変換し,自由空間に取り出すという電磁界の圧縮現象を用いる. 本研究では,中空ファイバーとDARCを組み合わせた装置を開発し,ガス充填DARCがテラヘルツ波を発生することおよび高出力であることを明らかにするための予備実験を行った.周波数可変性を調べるために種々の実験を行ったが,0.12-0.15THzであり,ほぼ一定となった.そこで,この現象を説明するモデルを構築したところ,励起用光源としての超短パルスレーザーが生成するプラズマの生成時間に依存することが明らかになった.このことを証明するために放射周波数のレーザーパルス依存性を観測した.これはレーザーのパルス幅の逆数に依存する事が明らかになった. また,コンパクトな軟X線光源を開発し,吸収分光に使うことができることも確認した.来年度は,テラヘルツ光源の出力を評価し,ポンププローブ法を完成させる予定である.
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