研究概要 |
2年度となる2009年度においては,研究計画にしたがい実験および数値シミュレーションによって研究を進めてきた.実験においては,昨年度導入したブリュースター角顕微鏡を用い,温度勾配を付加した固体基板上での先行薄膜領域形成初期の検出を可能としたことが成果として挙げられる.ここでは温度勾配付加基板上では,特に低温側への液滴全体の移動に伴い,液滴後端部(高温側)においてwetting/dewetting時の先行薄膜形成過程を初めて観察することに成功し,大きく分けて初期発達期,減衰期を経て再び発達期へと遷移することを明らかにした.また,繊維状多孔質体における濡れ挙動について,予備的研究を行い,浸潤過程の可視化および数値化を行うための手法を開発した.数値シミュレーションでは,固体基板上あるいはナノワイヤー上での濡れ挙動に関してレナード・ジョーンズ流体を用いてそのdewetting過程を明らかにした.特に分子数分布に注目し,その標準偏差の変遷をもって液膜に生起する不安定過程を記述しうることを明らかにした.以上の研究成果を国内外の学会で発表した.特に輸送現象に関する国際会議においては,これまでの研究成果に関する評価をいただき当該研究内容に関する基調講演を行った.また,マイクロ・ナノスケール伝熱現象に関する国際会議においては,selected paperに選出され,現在その成果の投稿準備中である.
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