研究概要 |
最終年度となる2011年度においては,実験および数値シミュレーション双方からのアプローチによって研究を進めるとともに成果報告も注力して行ってきた.実験においては,先行薄膜領域の長さおよび厚さの計測を,昨年度までに本プロジェクトにより導入したブリュースター角顕微鏡および共焦点型レーザ変位計を用いて行った.特に,液滴体積および粘性が先行薄膜形成に与える影響について解析を進めた.ここでは,マクロ的コンタクトラインの移動の時間的変化から,先行薄膜形成とマクロ的コンタクトラインの関係を明らかにした.また,液滴内部に粒子が存在する場合を対象として,マクロ的コンタクトラインの時空間的挙動の追跡および液滴内粒子挙動の3次元再構築を行った.さらに,繊維状多孔質体における濡れ挙動について,昨年度に引き続いて浸潤過程の可視化および数値化を行った.繊維周りの濡れに関する知見を蓄積するために,1本あるいは2本の繊維周りの濡れについても実験および数値計算を行った.分子スケールの濡れに関する数値シミュレーションでは,平滑あるいは規則的パターンを有する固体基板上での濡れ挙動に関して,レナード・ジョーンズ流体を用いてその不安定化・撥水・微小液滴形成過程を明らかにした・さらに,分離圧の概念を用いて撥水過程のモデル化を行い,過去の実験.計算的研究で得られた結果とよい一致を得ることが出来た.以上の研究成果を国内外の学会および学術雑誌上で発表した.
|