研究概要 |
これまでに開発してきた日々変化する生活スケジュールを個人属性や平日、土日によるちかいを考慮して碓率的に多数サンプル生成させるモデルと住戸の熱負荷計算を連成させることで、電力,熱,水等のユーティリティデマンドを高時間分解能で予測する大系Total Utility Demand Prediction System(TUDPS)について、次の2点について精緻化を行った。まず第一点は季節による暖房、冷房運転の有無を外界気象条件により確率的に定義するサブルーチンを付加した。次いで、就寝後の空調運転について、タイマーの使用を想定して室内気温を説明変数として空調OFFを確率的に発生させるようにプログラムの改変を行った。なお、TUDPSでは空調on/off行動を室内気温に対する状態遷移確率として定義していることから、この確率のパラメータを変化させることで、居住者の暑さ寒さ恕限度の期間冷暖房熱負荷に及ぼす感度を設定温度(Tset)±1℃の感度と比較しながら検討した.その結果、連続的運転状態となる暖房では,両状態遷移確率の感度は小さいが,設定温度の感度は極めて大きくなることが確認された.これに対して,冷房では頻繁に発停が繰り返されるので,設定温度上下の感度が寧ろ鈍く,「冷房開始を我慢する」ことの感度が大きくなる リバイズしたTUDPSを用いて、様々な住戸方位、住戸位置、家族構成、断熱状況の条件に対して期間負荷および最大負荷を計算し、従来のスケジュール固定の計算手法に基づく値との比較を行った。また、従来算法の修正係数の提示を行った。その結果、冷房では,変動スケジュールでは頻繁な発停が繰り返されることが利いて,期間負荷は従来法に比べ少なく、最大負荷は大きくなる傾向がみられた。また、暖房の変動/固定の負荷比は最大,期間とも計算条件によるばらつきは小さくなった。これは,暖房では室温と外気温度の差が大きく連続的運転が行われる傾向にあるため、最大負荷が挙生する時間帯が概ね固定されていることが一因と考えられる。
|