研究概要 |
本課題では、メゾプラズマの特徴を応用して、次世代ジャイアントエレクトロニクスに資する大型結晶粒から構成されるシリコン薄膜を低温・高速で直接堆積するプロセスの設計を目指す。これまでの成果より、特に成膜前駆体ナノクラスターとプラズマ/成長表面における原子状水素との相互作用が高速で高品質なエピタキシャル成長において重要な役割を担う可能性が示唆された。これを踏まえて,本年度は,昨年度構築した高精度絶対値その場定量が可能となるキャビティリングダウンシステム(CRDs)を利用して,励起状水素原子を測定し,本プロセスの特徴を明らかにした。その結果,水素流量0.2SLM,RF入力22kW時に、H(n=2)=3×10^<10>cm^<-3>と高密度値が計測された。メゾプラズマ環境でのラングミュアプローブによるプラズマ診断結果では、電子温度1eV、イオン密度10^<14>cm<-2>程度であることから,本環境では熱励起では無く,高イオン密度の大半を占めるArイオンによるArイオンアタッチメント過程Ar^++H_2→ArH^++HとArH^++e→Ar+H(n=2)を経た,活性化エネルギーを殆ど要しない励起過程であり,投入するH_2量に比例して原子状水素を形成させうる特異な高活性環境場である事が判明した。その結果として,プラズマフレーム下部においても高い水素原子濃度を示す空間的に均質な水素空間であることも確認された。他方,リフトオフを用いた異種基板上への薄膜単結晶デバイスを意図し,SiO2パターン上ヘエピタキシャル成長条件下にてメゾプラズマCVDを行った。その結果,基板と同一方位を有するエピタキシャル膜がオーバー成長する可能性を見出した。
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