本研究の目的は、ゼオライトに担持したレニウム系触媒の選択酸化触媒の開発と同時に、表面に担持された触媒活性金属構造を各種分光法を用いて解析し、触媒調製過程、定常触媒反応過程などにおける触媒活性金属種のダイナミックな構造変化や触媒反応機構、触媒活性構造の速度論を見出すことで、レニウム種や担持金属活性種の働きを理解することを目的としている。そして、新しい触媒開発と並行して、触媒の活性構造や表面での現象を明らかにすることを目指している。本年度は、HZSM-5ゼオライトに担持したレニウム触媒のベンゼンの選択酸化反応過程、及び酸素による触媒活性還元レニウム種の酸化過程におけるin-situ時間分解XAFSの解析を行い、酸化反応雰囲気下における担持レニウム触媒のダイナミックな構造変化とその構造速度論を明らかにした。 また、アンモニアを用いたベンゼンからのフェノール合成に触媒活性を示すZSM-5ゼオライトに担持したレニウム触媒に、第2成分として白金などの貴金属種を加えた担持レニウム系合金触媒について、粉末X線結晶構造解析、Re LIII及びPt LIII端におけるX線吸収微細構造スペクトルの解析を行い、触媒焼成直後、アンモニアによる処理後、定常触媒反応後などの異なるステージにおける担持レニウム種及び白金種の構造の違いを検討した。また、新しく見つかった一酸化二窒素によるベンゼンの選択酸化反応に活性を示す金硫化物ZSM-5ゼオライト担持触媒についても、粉末X線結晶構造解析、拡散反射紫外可視分光スペクトルの解析を行い、触媒調製時の焼成温度やベンゼンと一酸化二窒素との定常反応後の触媒の構造の違い、及び硫化物の有無による違いを検討した。
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