研究概要 |
ロジウムは、有用な工業用抽出剤がまだ存在しないことから、分離精製プロセスにおいて抽残液から回収される。よって、新規ロジウム抽出剤開発は長年の懸案事項の一つである。本研究では、3級アミンにアミド基を2個導入した、N-n-へキシル-ビス(N-メチル-N-n-オクチル-エチルアミド)アミン(HBMOEAA)を合成して、塩酸溶液からの白金族金属(パラジウム、白金、ロジウム)の抽出挙動を調べ、トリ-n-オクチルアミン(TOA)、N,N'-ジメチルーN,N'-ジ-n-オクチル-ジグリコールアミド(MODGA)及び-チオジグリコールアミド(MOTDGA)との比較を行った。 抽出剤濃度0.50M-塩酸濃度2.0Mの条件下でRh(III)の抽出挙動を調べたところ、TOA、MODGA、MOTDGA系ではRh(III)はほとんど抽出されなかったが、HBMOEAA系では80%以上のRh(III)抽出率が得られた。この値は塩酸濃度>1MにおけるRh(III)抽出率としては従来にない極めて高い値である。また、同条件下でHBMOEAAはPd(II)及びPt(IV)をほぼ100%抽出したRh(III)抽出後のHBMOEAAを含む有機相と10M塩酸溶液を振り混ぜることで約90%のRh(III)が逆抽出されたが、Pd(II)及びPt(IV)は逆抽出されず、Rh(III)の選択的分離が可能であった。 抽出機構に関しては、XAFSスペクトル測定、Rh(III)抽出分配比の抽出剤濃度依存性及びRh(III)抽出容量の結果から、抽出反応はイオン対型であり、また抽出錯体は1:2 Rh-HBMOEAA種が優勢であることが示唆された。
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