研究課題
本研究の最終目標は、粘性係数の高いプラズマで精度良くイオン温度、径方向電場を評価するための、高い波長・時間分解能を有する荷電交換再結合分光(CXRS)装置を開発することである。今年度はCXRS用高波長分解分光器の開発と初期性能試験を行った。以下に具体的な内容について述べる。1. 観測対象とするHe、炭素イオンの波長がそれぞれ468.57nm、529.05nmであるため、これに特化した分光器(Fナンバー2.9・焦点距離200mm)を設計・制作した。波長の弁別には前段にプリズム、後段にエッシェル型回折格子を用いることで、同型分光器で問題となる不要次数の回折を排除した。2. 分光器の性能をCCDカメラ(16μm×16μm)を用いて初期的な評価をおこなった。その結果逆線分散が468.57nmで0.165nm/mm(=0.00264nm/pix)、および529.05nmで0.185nm/mm(=0.00264nm/pix)であることが分かった。これは本申請時に予想した逆線分散0.150〜0.169nm/mmをほぼ満たしており、当初の目的である回転速度の測定誤差1km/sに相当するドップラーシフト量0.002nmを評価できる性能を有している。またレンズ分光器の湾曲収差についても調べ、収差補正のための関数系を構築した。3. 本装置を設置予定のヘリオトロンJは3次元の磁気面形状をもっているため、大型トカマク等で用いちれている観測手法では空間分解能の劣化が懸念される。そこで磁気面形状に沿った観測視線を検討したところ、空間分解能Δρが±0.05以下を確保できることが分かった。この結果は、今回新たにヘリオトロンJに適用したNBI吸収分布コードを用いて得られたビーム発生分布に基づいて評価した。以上の成果は第22回IAEA国際会議でのポスター発表、第18回国際土岐会議の招待講演で報告した。
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Plasma and Fusion Research 3
ページ: S1067
ページ: S1008
Contribution to Plasma Physics 48
ページ: 141-146
ページ: S1023