電場及びその揺動は磁場閉じ込めプラズマの閉じ込め性能に大きな影響を及ぼすため、その振る舞いを理解することは将来の核融合プラズマの性能予測を行う上で極めて重要である。電位を計測することのできる重イオンビームプローブ(HIBP)を多チャンネル化することにより、チャンネル間の差分から電場を直接的に測定することが可能になることが期待できる。 昨年度の3チャンネル化検出器を用いた実験データの解析を進めた結果、3つのチャンネルで測定した電位分布が一致することを確認し、3チャンネル計測ができていることが確認できた。電位揺動に関しては、MHD揺動や高速イオン誘起Geodesic acoustic mode (GAM)を3チャンネルで計測できた。これらの電位分布及び揺動に対してチャンネル間の電位差、位相差を調べた結果、誤差以上の差は検出できず、電場・電場揺動は検出できなかった。このことは、これらの電場分布・電場揺動の特性長が3チャンネルの間隔(2cm)より大きいこと示している。ただし、当初目標であり、数cm程度の構造を持つ可能性のある電場の遷移領域での分布計測や乱流と乱流駆動帯状流の計測は、計測のS/N比が不十分であるためまだできていない。このため、当初計画にあった5チャンネル化改造を中止し、S/N改善のための検出器の改良を行うこととした。平成22年3月の段階で改良型検出器の製作中であり、来年度に引き続き試験を行う予定である。
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