研究概要 |
本研究では, 低レベル放射性廃棄物の安全な減容化のため, 酸化ウラン触媒と副生成物吸着剤を同時に用いた新たな熱処理プロセスを提案する. 本処理プロセスでは, ポリ塩化ビニルやグローブ等を含む可燃性・難燃性廃棄物を一括低温熱処理し, 発生する気体中の有害な有機系ガスおよび低沸点金属を酸化ウラン触媒とカルシウム吸着剤によって低温分解・除去する. 酸化ウラン触媒とカルシウム吸着剤は, シュウ酸を用いて再生し, 繰り返し利用する. 本研究は, 被爆の可能性がある分別作業, 二次廃棄物の発生を低減する低レベル放射性廃棄物の減容化処理法の確立を目的とする. 初年度である平成20年度は, 反応器の組立および試料の調整を行った後, これらを用いて窒素酸化物及び塩素系有機化合物の分解に及ぼすウラン触媒の効果について検討を行った. 二酸化窒素もしくはクロロベンゼンを試作固気反応器で, 粉末の八酸化三ウランと接触させ, 出口濃度をフーリエ変換赤外分光光度計やガスクロマトグラフィー等で分析し, 分解率を求めた. 二酸化窒素については, 酸化ウランは触媒ではなく, 反応物として作用し, 自らは三酸化ウランへと変化した. 400℃での反応初速度は3.6×10^<-2>[NO_2]と求められた. クロロベンゼンについては, 酸素共存雰囲気下において分解が可能であることを確認した.
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