(a) ヘテロクロマチン構造の確立及び境界領域確立のメカニズムの解明 スクリーニングで分離された遺伝子のうち、ヒストンアセチル化酵素であるSAS2に関して解析を行った。その結果、ヘテロクロマチン構造が確立した後でも伸長を停止する境界が形成出来ることが明らかとなった。 (b) スクリーニングにより分離された未知タンパク質の解析 昨年度に引き続き、Ycr076CとGic1について解析を行った。LC/MS/MSの結果、Ycr076cはタンパク質分解に関与するプロテアソーム複合体の20S構成因子と特異的に結合することが明らかとなった。この結果は、ヘテロクロマチン構造とプロテアソームの機能的相関を示唆する初めての結果であり、今後、他のアプローチにより分子レベルので機能を明らかに出来ると考えている。また、Gic1pはtwo-hybridの解析により、結合能力は弱いが、ヒストンとの結合が見られ、新規ヒストン結合タンパク質の可能性を示唆した。 (c) スクリーニングにより分離された機能未知タンパク質の染色体上における局在解析 クロマチン免疫沈降法(ChIP法)を用い、生体内における境界領域にスクリーニングにより分離された機能未知タンパク質が存在するか、あるいは特異的な境界領域にのみ存在しているか解析した。現在のところ、特異的に存在する領域は見出せていない。 (d) 細胞周期と境界形成機構の関与 細胞をG1期、S期、G2/M期に同調後、ヘテロクロマチン領域の指標となる抗Sir3抗体を用いクロマチン免疫沈降法(ChIP法)を行った。興味深いことにG1期でヘテロクロマチン領域の伸長が見られ、細胞周期に依存し境界の形成が変動することが示唆された。
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