研究課題
花・種子生産量が年によって大きく変化する豊凶現象(マスティング)が様々な分類群の樹木で知られており、東南アジア熱帯林では群集レベルで不定期に同調する一斉開花現象が見られる。一方で同所的に分布する樹木の中には、一斉開花の有無に関係なく高頻度で定期的に開花・結実する非一斉開花型樹木も混在するが、一斉開花型樹木と非一斉開花型樹木がお互いの繁殖成功に及ぼす影響については全く知見が得られていない。本研究では、この2グループの樹木間での相互作用に注目して、それぞれの繁殖戦略を評価することを目的としている。21年度には、10月から比較的規模の大きい一斉開花が起こったため、代表的な一斉開花型樹木であるフタバガキ科を対象に、種子~実生生残率調査や、その生残・成長に花粉散布距離や立地環境が及ぼす影響評価のための移植実験を立ち上げた。まだ開始したばかりであるが、実生の発芽率は種によっては非常に高い傾向が見られた。また、開花頻繁の高いパイオニア樹木の1つであるビワモドキ科のDillenia suffruticosaを材料に、20年度から引き続いて、送粉者群集の特定と結果率・結実率や種子サイズなどの繁殖成功を調査し、一斉開花が非一斉開花型樹木の繁殖成功に及ぼす影響を評価するための野外調査を実施した。どちらもまだ継続調査中であるため結果は出ていないが、来年度は遺伝実験を含めて、量(繁殖成功量)と質(花粉・種子散布距離)の両面からデータを解析する予定である。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
Plant Species Biology 24
ページ: 104-108
Agricultural and Forest Meteorology 149
ページ: 1666-1673