tRNAアンチコドン一文字目のヌクレオシド修飾は、コドンの揺らぎと密接に関連しており、正しいタンパク質を生合成する上で極めて重要である。グルタミン酸、リジン、グルタミン、ロイシン、アルギニンに対応するtRNAのアンチコドン1文字目のウリジンは、全ての生物において修飾を受ける。真正細菌ではウラシル塩基5位のカルボキシメチルアミノメチル化もしくはメチルアミノメチル化修飾が確認されている。ウラシル塩基5位の修飾には複数の酵素が関与し、まず、MnmEとGidAが共同的に働くことによって、5位にカルボキシメチルアミノメチル基を付加する。次に、MnmCが、カルボキシメチルアミノメチル基をメチルアミノメチル基に変換することが知られている。本研究では、結晶構造解析と変異体機能解析から、ウラシル塩基5位の修飾メカニズムを解明することを目的としている。平成21年度は、MnmEの結晶構造を決定し、その立体構造に基づいた変異体解析から、活性部位近傍に位置するリジン残基がカルボキシメチルアミノメチル化修飾反応に不可欠であることを見出した。修飾反応過程において、MnmEはGidAと複合体を形成することが知られており、詳細な修飾反応メカニズムを解明するためには、MnmEはGidA複合体の結晶構造解析が不可欠である。そこで、MnmEとGidAとの複合体の結晶化条件の初期スクリーニングを行ったところ、MnmE-GidA弘複合体の予備的な結晶を得ることに成功した。現在、解析中である。
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