研究課題
本研究では、オートファゴソームの形成に必須な機能未知の因子、Atg2, Atg18, Atg9に焦点を絞り解析を進めた。オートファゴソームの膜のマーカー蛋白質である、ホスファチジルエタノールアミン結合型Atg8(以下、Atg8-PE)の細胞内存3状態を密度勾配遠心分離法により調べた結果、ATG2遺伝子を欠失した酵母細胞では、オートファジーが誘導される栄養飢餓条件下で特異的に、野生株では見られない密度領域にAtg8-PEが分画されることが明らかとなった。この密度領域には、Atg9も共分画されることが明らかとなった。atg2欠失株では、オートファゴソームの膜の前駆体様構造が蓄積することが示唆された。一方、Atg8-PEは、野生株とatg2欠失株とで共通に見られる密度領域にも分画される。Atg2はAtg18と複合体を形成するが、興味深いことに、atg18欠失株では、オートファゴソーム膜前駆体様構造の蓄積を示唆する密度領域にAtg8-PEの分画は見られない。代わりに、atg18欠失株では、野生株とatg2欠失株とで共通に見られる密度領域に分画されるAtg8-PEの量が顕著に増加した。以上の結果は、atg2欠失株とatg18欠失株では、Atg8-PEが異なる状態で蓄積することを示しており、それが如何なる状態かを解明することで、オートファゴソームの膜の由来や膜の供給様式に関して重要な知見が得られると期待される。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
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