研究課題
オートファジーは、栄養飢餓をはじめとする様々な生命現象に深く関わる細胞内分解・リサイクリングシステムである。オートファジーには、被分解物を隔離し、分解の場であるリソソームあるいは液胞に輸送するためのオートファゴソームと呼ばれる二重膜胞の新規構築が必須であるが、そのメカニズムは未だ謎に包まれている。本研究では、オートファゴソーム形成に必須のAtg因子の中から、膜動態に直接関わると考えられる機能未知の因子に着目し、オートファゴソーム形成のメカニズムの解明に突破口を開くことを目的としている。昨年度までの研究により、機能未知のタンパク質複合体構成因子Atg2およびAtg18を欠いた細胞内に、オートファゴソーム膜の中間体と考えられる膜構造が蓄積することを見出した。本年度は、この膜構造の形成機構を解析し、同膜構造がpre-autophagosoma 1 structureと呼ばれる液胞近傍の構造体で他のAtgタンパク質の協調的な働きにより形成されることを明らかにした。また、Atg2の発現を可逆的にコントロールできる細胞株を構築し、同膜構造の蓄積がAtg2の再発現により解消されることを示し、同膜構造が真にオートファゴソーム膜の中間体であることを裏付ける結果を得た。さらに、同膜構造を細胞破砕液より大量に単離する手法を確立し、その質量分析によるタンパク質・脂質組成の決定や電子顕微鏡による形態観察に取り組むことを可能とした。
すべて 2010 その他
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http://www.ohsumilab.aro.iri.titech.ac.jp/