花や緑の存在によって私たちは"安らぎ"を感じるが、この時、ヒトの脳と身体の中でどのような変化が生じているのかはこれまで検証されてこなかった。本研究では実験的に作り出された精神的ストレス状況下で「花の写真」を提示された条件と「花以外の写真」を提示された条件における血圧、ストレスホルモン、脳血流量を比較・検証した。「花」は精神的ストレスによって生じた扁桃体周辺領域の過活動を低減させることで近接する視床下部を抑制する。その結果、交感神経系の活動が抑制され、血圧の低下(安定)やストレスホルモン値の減少を生じさせることが示唆された。フィールド研究では数週間生活空間に切り花を飾ってもらうことで、闘病中の患者の無気力感が低下し、家族のメンタルヘルスが向上した。
|