勘と経験ではなく、客観的な指標に基づくプログラム構築方法を研究する、本研究では非接触で計測できる2次放射温度計画像を撮影して、手のひらの皮膚表面温度による利用者の変化を捉えるとともに、画像や言語データを処理した上で、効果測定するシステムを構築する。そのため、計測時問・環境などを考慮した上で手のひらの皮膚表面温度と唾液中イムノグロブリンAおよびコルチゾール含有量、生体計測用アンプから計測される脈波や心拍などの変化および気分プロフィール調査などのストレス指標の関係を調査するとともに、ストレス指標との関連性が深い部位について検討を試みた。 昨年度は実験条件を設定する基礎実験と並行して、文献調査および高齢者・障害者・児童分野の医療・福祉施設を対象にした園芸活動実践現場でのフィールドワークを行った。 その結果、基礎実験では被験者間のばらつきが大きく、今後さらなる検討を行う必要があることが明らかになった。文献調査においても、皮膚表面温度は皮膚血流量に依存するが、直線的な関係でないことや朝から夜間にかけての皮膚表面温度の変化は相関があることおよび心臓と手の位置との関係で皮膚表面温度が変化するといった生理的な注意点および安堵や弛緩では皮膚表面温度は上昇するが、騒音や暗算では低下することおよび環境温度によって影響があるが、運動負荷時には変化がないこと等の条件設定の検討に必要な知見が得られた。フィールドワークでは計測実施の前段階として、記録作成・整理による情報共有の必要性や活動中以外にもコミュニケーションによる効果が見られることが明らかになった。
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