研究課題
本研究の目的は、幼少期社会環境による情動と社会性の発達に関する分子神経科学的基盤を明らかにし、発達に重要な母性因子の同定と、その代替法を見出すことにある。早期離乳されたマウスの生後2-3週齢時にBDNFを脳室内投与することで、不安行動の改善が認められ、さらにその効果が永続的であったことから、生後2週から3週にかけての前頭前野におけるBDNFの発現調節が不安行動の発達に重要であるとの仮説を立てている。平成22年度において、1)前年度までに見出した脳内責任部位候補である前頭葉におけるグルココルチコイドの含有量が、早期離乳によって上昇していることが確認された。1)同じく前頭葉におけるグルココルチコイド活性酵素の11b-HSD1の永続的な上昇が確認された。3)11b-HSD1の阻害薬であるcarbenoxoloneを末梢性投与し、早期離乳操作によって上昇する不安行動が改善されることを見出した。4)成熟後に前頭葉特異的に薬物処置する技術を開発し、これによってグルココルチコイド受容体拮抗薬の局所処置による早期離乳誘発不安行動が改善することを明らかにした。これらの結果から、早期離乳によって上昇したグルココルチコイドが脳内の11b-HSD1の発現量を永続的に変化させ、その結果として、BDNFの発現抑制と、それを介した不安行動の上昇という、早期離乳によってもたらされる一連の脳内メカニズムが明らかとなることが明らかとなった。
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