研究課題
我々は破骨細胞の分化マスターレギュレーターとしてnuclear factor of activated T cells c1(NEATc1)を同定してきた。しかし、破骨細胞分化に特異的な、他のNEATファミリーでは代替不能なNFATc1の役割を説明する制御機構は不明であった。本研究ではNFATc1の翻訳語修飾に着目しその制御機構を解明することを目的とする。我々は、まず予備研究として、翻訳後修飾のひとつであるタンパク質メチル化酵素PRMT5がNEATc1と結合することを明らかにした。そこで、PRMT5の欠損マウスを作出・解析し、PRMT5の骨組織における意義を明らかにする。20年度は、遺伝子欠損が致死性であることを考慮し、Cre-loxPシステムを用いたターゲティング法によるPRMT5遺伝子改変マウスの作成に成功し、現在、破骨細胞特異的にPRMT5を欠損するコンディショナルノックアウトマウスの作成に着手している。また、PRMT5を標的とするshRNAレトロウイルスを作成し、in vitro破骨細胞分化における発現抑制の影響を検討した結果、破骨細胞分化は抑制されることを明らかにした。一方、PRMTタンパクファミリーは2つのサブクラスに分類できるため、その機能を比較解析することを目的とし、PRMT5とは異なるサブクラスに属するPRMT4の破骨細胞分化における役割を検討した。PRMT4の欠損マウスは共同研究先(University of Texas, Dr. Mark T Bedford)より供与を受け、破骨細胞分化に及ぼす影響を解析した結果、正常に破骨細胞分化は誘導されることを見出した。これらのことは、PRMT5が他のPRMTファミリータンパクにない特異的な機能を持って、破骨細胞分化に寄与することを示唆している。21年度のPRMT5欠損マウスを用いた骨組織解析の必要性を支持するデータである。
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