昨年度は、RMT5を全身で欠損するマウスの作成を試みたが、PRMT5-/-マウスは誕生しないことから、PRMT5はマウスの発生に必須の役割を果たすことを見出した。そこで胎生期のどの過程で死に至るのかを詳細に解析し、胎生期E12.5胚で致死に至ることを見出した。E12.5以前の胚の組織切片を作成し、発生のどの段階で致死に至るのかについて解明を進めてきた。一方、PRMT5-/-マウスの致死性を回避するために、昨年度に作成したPRMT5 Floxマウスと破骨細胞や骨芽細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスとの交配を行い、コンディショナルノックアウトマウス(cKO)の作成を進めてきた。破骨細胞特異的にPRMT5を欠損させるために、PRMT5 Floxマウスと破骨細胞マーカー遺伝子CtskやRANKのプロモーター活性に依存してCreを発現するマウスと交配し、破骨細胞特異的PRMT5コンディショナルノックアウトマウスの作成に成功した。このマウスの骨組織を解析した結果、破骨細胞形成初期に発現するRANKに依存してPRMT5遺伝子を欠損するマウスでは、破骨細胞形成遅延が認められ、このマウス由来の骨髄細胞からの破骨細胞分化は低下することを明らかにしたが、生体レベルでの骨量に影響を与える程度ではなかった。一方、骨芽細胞特異的遺伝子OsxやClolalに依存してPRMT5を欠損するマウスも同時に作成し、解析を試みている。現在までに、骨芽細胞の骨形成は、PRMT5欠損によって低下し、コンディショナルノックアウトマウスは骨量低下を示すことが示唆された。骨芽細胞においてもNFAT転写因子は必須の役割を果たすので、骨芽細胞におけるNFATに対するアルギニンメチル化に着目して研究を進める計画に到達した。
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