平成20年度は、免疫応答中のB細胞の分化状態をモニターするために、胚中心B細胞のホールマーク転写因子BCL6の遺伝子座に、蛍光タンパク質遺伝子を導入したBc16-YFPマウスを作製した。この遺伝子ターゲティング後の遺伝子産物であるBcl6YFPタンパク質は、目的に適い胚中心B細胞選択的に発現していることが、フローサイトメーターによる解析で明らかとなった。これによりBcl6のタンパク質発現を個々のB細胞にづいて追跡することが可能となり、Bcl6YFPマウスがB細胞分化機構の解明に非常に有用であることが示された。現在、このマウスを用いて活性化B細胞の胚中心B細胞への分化、胚中心B細胞からエフェクター細胞への分化に、Bcl6の発現調節がどのように作用しているかを解析するとともに、2光子励起顕微鏡法によるBcl6タンパク質発現の可視化の検討を行っている。 またトリ卵白リゾチーム特異的B細胞と、トリ卵白アルブミン(OVA)特異的CD4陽性T細胞を用いた抗体産生応答追跡システムの導入を行った。これにより、応答開始から様々な段階の活性化B細胞を生体内から単離することが可能となり、β-tubulinと実験対象分子に対する免疫染色を行って、分裂B細胞における分子分配を観察した。その結果、胚中心形成直前のB細胞について、膜分子、シグナル伝達分子でいくつかの非対称分配分子の候補となるものが見出されてきており、さらなる解析を進めている。
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