研究課題
常染色体優性多発肝嚢胞(ADPLD)の疾患モデルでマウスであるSec63コンディショナルノックアウトマウスの解析を行っている。昨年までの結果でSec63^<lox/lox>:ksp-creマウスを解析した結果、嚢胞形成の初期には細胞増殖が関与し、後期にはアポトーシスが大きく関与している事を示した。そこで、細胞増殖、アポトーシスについてウエスタンブロッティングを用いてさらに検討を行った。その結果、嚢胞初期の細胞増殖に関してはpERKの発現が高く、常染色体優性遺伝性多発性嚢胞腎と同様にMAPKの経路の関与がある事が明らかとなった。また、アポトーシスに関してはCaspase-6を介した経路が関与している事が明らかとなった。常染色体優性遺伝性多発性嚢胞腎ではMPAK阻害剤が嚢胞を抑制するという報告が認められる。また、細胞増殖を抑える薬物としてmTOR阻害薬も近年注目されてきている。今回の結果から常染色体優性多発性嚢胞肝にもこれらの薬剤の効果がある可能性があり、今後投薬実験を進めようと考えている。また、アポトーシスに関しては、ERストレスの関与についても検討を行っている。視神経細胞に発現するChx10プロモーターを使用したCreマウス(Chx10-creマウス)と交配したSec63^<lox/lox>:Chx10-creマウスの解析にて網膜変性の表現型を得ていたが、今回、視細胞のアポトーシスが原因である事を明らかとした。今後、視細胞でのアポトーシスの原因について更に検討を続け、網膜角素変性症の治療法の解明につなげたいと考えている。
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