研究概要 |
本研究は、水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid ; BP)の自己抗原であるXVII型コラーゲン(COL17)を分子イメージングする事により、BPの病態解明を行うものである。平成23年度は、コンフォーカル顕微鏡を用いタイムラプス観察し、実際に蛍光標識したBP患者IgGが培養正常ヒト表皮細胞(NHEK)の細胞内へダイナミックに取りこまれることを明らかにした。次に、細胞内領域をEGFP標識したCOL17を安定発現するCOL17発現(-)患者由来不死化表皮細胞(平成22年度に作製)を用い、同様に標識BP患者IgGを投与したところ、細胞内へのIgG取り込みが、COL17と共存するかたちで行われることを解明した。これらの結果は、NHEKの表面に発現するCOL17へBP患者IgGが結合すると、直接複合体を形成しながらinternalizationすることを示唆しており、BPの発症病理となっていると予想された。現在、これらの研究成果をin vivoで確認する目的で、EGFP-COL17コンストラクトを発現するトランスジェニックマウス作成開始しており、近日、F1仔マウスが得られる予定である。そのほか平成23年度には、平成20~22年度研究で作成した"COL17細胞外領域特異的抗体"を用い、COL17の異なる部位により細胞外マトリクスタンパクであるラミニン332やCOL4と相互作用することを解明した(Nishie W, et al. Am J Pathol 179 : 829-37, 2011)。現在、COL17細胞外領域特異的抗体を更に発展・応用し、COL17の生理機能解明を進めている。
|