双極性障害や統合失調症といった主要な精神疾患患者死後脳で見られる遺伝子発現変動の原因を探るため、遺伝子発現、SNP(single nucleotide polymorphism)、 CNV(copy number variation)、 DNAメチル化の網羅的データを取得し統合的解析を行っている。本年度は、CNV(copy number variation)が遺伝子発現に与える影響を詳細に検討するため、米国スタンレー財団より提供された精神疾患患者死後脳ゲノムDNAを材料としてAgilent CNVアレイを用い、CNVパターンの高精度プロファイリングを行った。各サンプルにおけるCNVデータに関しては引き続き解析中であるが、高精度なプロファイリングができたことで、集団中の頻度の高いCNV(common CNV)と頻度の低いCNV(rare CNV)、質の異なるCNVがどのように遺伝子発現に影響を与えるのかを検討することが可能となった。 また、引き続き精神疾患患者死後脳ゲノムDNAにおけるDNAメチル化情報の取得を行っており、本年度は、35例の健常者および35例の双極性障害患者試料における神経細胞、非神経細胞のメチル化DNAパターンのプロファイリングが終了した。来年度は、統合失調症患者死後脳における神経細胞。非神経細胞のDNAメチル化情報の取得を行い、双極性障害との比較や遺伝子発現への影響を検討する。また、得られた網羅的データを統合し遺伝子発現への影響を検討していく。
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