研究課題
本年度は、全身投与で患部の標的化が可能な遺伝子ベクターの開発を達成するために、1.cRGD架橋ミセル、2.cRGD-PEG-PAsp(DET)ミセルについてそれぞれ検討を行った。1.cRGD架橋ミセル細胞内の還元環境に応答して開裂するジスルフィド架橋を内核に施したミセル表層に環状型RGDペプチドを付与したcRGD架橋ミセルについて、フローサイトメトリー・蛍光顕微鏡・共焦点顕微鏡を用いて細胞内での挙動をリアルタイムで評価した。PEGの分子量が12kのミセルではcRGDの有無による細胞内での挙動に違いが見られなかったが、PEGの分子量が17kのミセルではcRGDの付与により顕著に早い細胞内取り込みとスムーズに核周辺へ移行することが確認できた。高分子ミセル型遺伝子ベクターを開発する上で、患部の標的化のためには17k前後の分子量のPEGを利用し、リガンドを導入することが有効であることを明らかにした。2.cRGD-PEG-PAsp(DET)ミセル効率の良いエンドソーム脱出を可能にするPAsp(DET)ポリカチオンを持ったcRGD-PEG-PAsp(DET)ミセルについて、ラット頸動脈内膜肥厚モデルに対して局所投与し、その機能評価を行った。cRGDリガンドを導入することにより、患部での遺伝子発現が持続することが確認できた。また、蛍光標識プラスミドを用いた患部への集積性の評価では、cRGDミセルが有意に高い集積性を示した。cRGDリガンドの高分子ミセル型遺伝子ベクターへの導入が、血管疾患を標的とする上で有効であることを明らかにした。
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